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耶馬渓ダム

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[出典:国土交通省総合政策局HP(インフラツーリズムポータルサイト)]​

1. 耶馬渓ダムの概要

 山国川は、その源を大分・福岡両県境にそびえる英彦山(標高1,196.6m)に発し多くの渓支川を集めながら景勝地耶馬渓を経て両県境を東北に流下して、周防灘に注ぐ一級河川である。耶馬渓ダムは、その山国川の右支川である山移川に、洪水調節・流水の正常な機能の維持・上水道・工業用水の供給ならびに発電を目的として建設された多目的ダムである。

 ダム建設事業は、昭和45年実施計画調査に着手し、大分・福岡両県の水配分問題、水没地内補償問題、漁業補償等の社会的課題を解決し、昭和56年3月に本体コンクリート打設を開始、昭和60年4月にダム管理へと移行した。

 耶馬渓ダムの特徴として、中位標高に中小洪水調節用としてオリフィスが設けられているとともに、常用と非常用の洪水吐きを完全分離した分離型減勢工を採用している。 また、新日本三景の1つとして名高い耶馬渓の名を冠する耶馬渓ダム(旧名:柿坂ダム)は、ダム自体の景観も美しく、季節の移ろいを楽しみに多くの人が訪れ、全国でも珍しい公営水上スキー場がある。また、ダム湖には噴水があり、周囲は公園として整備されている。

[関連資料7)を加筆]

2. ダム概要図
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3. 地質概要
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ダム周辺地域に分布する地質は、中生代の花崗岩類を基盤岩にして、これを第三紀中新世以降の火山岩類や火山砕屑岩類が覆っている。

 ダムサイトを構成する地質は、第四紀更新世の耶馬渓層に属する凝灰角礫岩(Tb)および安山岩溶岩(An)が大部分であり、局部的に阿蘇溶岩および耶馬渓溶岩(Yb)が分布している。

​ なお、観光地として有名な「耶馬渓」は、山国川の中~上流域に位置し、これら火山岩類~火山砕屑岩類が侵食され、随所に急崖・岩柱・奇峰をなし景勝地となっている。

[関連資料7)を加筆]

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4. 設計概要
1) 
ダム軸の選定

 ダム軸の決定については、昭和37年度にボーリングおよび試掘横坑調査を開始して以来、種々の地形・地質状況の確認、設計・施工上からの検討がなされ、最終的に当初計画案に比べて左岸側を上流側に移動させたD・F・G案に的を絞り、硬質粘土を避けるためには出来るだけ下流側が良いが両岸の地山の厚みを考えて、現在のダム軸(G軸)に最終決定を行っている。

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2) オリフィスの採用

 常用洪水吐は、高圧放流管(コンジット)2門となるが、常時満水位で50m3/s程度の余裕を見込む放流設備として、オリフィス形式の低圧型管路が設置されている。この設備は、中小洪水に対処でき、高圧放流管と併用すれば冷水・水質対策にも対処できるよう、建設当時では先端的な考え方で設置された放流設備である。すなわち、常時満水位付近では、表層・中間層の取水機能を持ち、設計洪水位にあっては、表層・中間層・低層の選択取水が可能となり、放流設備全体の有効活用を可能としている。

 また、当該設備は、横継目となるJ13を跨ぐ放流管として配置されており、設計・施工技術に基づく各種の工夫が行われている設備となっている。
 

3) 分離型減勢工の採用

減勢工は、ダムサイトの地形上の制約が比較的少ないため、常用および非常用洪水吐きを分離し、減勢地についても分離型減勢工を採用している。

4) 水質保全対策

 耶馬渓ダムでは、植物プランクトンそのものを抑制するとともに、プランクトンの増殖環境を改善する水質保全装置を導入し、貯水池内の水の保全を行っている。

  System1:貯水池循環装置(噴水設備)

   噴水による水面叩きとポンプ加圧で、プランクトンの増殖を抑制する。

  System2:曝気循環装置(固定設置型)

   空気の泡で庫内の水を循環させ、湖のよどみをなくす。

  System3:曝気循環装置(水面設置型)

   空気の泡で、湖内の水を循環する。

  System4:深層曝気装置(水面フロート型)

   空気の泡で湖内深部にDO(溶存酸素)を供給する。

[関連資料7)を加筆]

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5. 施工概要

 原石山は、ダム右岸奥約1,700m地点に位置し、ダンプトラックにより骨材プラントまで運搬した。

骨材プラントの設置場所は、騒音・振動を考慮するとともに地形的に平坦地となっている原石山より約500mダムより地点とし、約800mのベルトコンベアーによりダムサイトまで骨材を運搬した。

 コンクリート製造及びセメント貯蔵設備は、ケーブルクレーンの配置により、右岸側広場に設置している。

 コンクリートは、ダムサイト右岸に設置したバンカー線と9t孤動型ケーブルクレーンにより本体打設を行い、減勢工は45tクローラ―クレーンにより打設を行っている。

[関連資料7)を加筆]

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6. ダムの活用
1) 
湖面利用

 耶馬渓ダムの湖面は、地元自治体が穏やかなダム湖面を利用して、水上スキーやウエイクボード等を行う施設「アクアパーク」を設立し、ウオータースポーツのメッカとなっている。また、国内のプロ・アマチュアの全国大会等、水上ズポーツの競技会場となっている。

 さらに、水質保全対策施設となる貯水池循環装置も、水上における噴水による湖面での演出の一役を担っている。

2) 湖畔祭り

 「森と湖に親しむ旬間」に「耶馬渓ダム湖畔祭り」が実施され、毎年恒例の一大イベントとなっている。特に花火大会は、渓谷に反響する大音響と水面に反射する輝きが素晴らしいようである。

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7. 関連資料(関連資料紹介:工事誌、論文、報文等)

  1) 耶馬渓ダムの施工について  /末広孝義、江口正彦  【ダム日本 No.467(1983.09)】 

  2) 耶馬渓ダムにおける洪水吐きの設計・施工  /末廣孝義  【ダム日本 No.491(1985.09)】 

  3) 耶馬渓ダムにおける河流処理について  /江口正彦  【ダム日本 No.502(1986.08)】 

  4) 耶馬渓ダムにおける基礎処理について  /江口正彦  【ダム日本 No.511(1987.05)

  5) 耶馬渓ダムの基礎処理について  /末廣孝義・加藤幸則  【ダム技術 1986 vol.4 No.1】

  6) 耶馬渓は、どげちいいとこで-   /秋永徳昭  【ダム技術 2004.10】

  7) 耶馬渓ダム工事誌・図面集  昭和60年3月 耶馬渓ダム工事事務所

  8) 耶馬渓ダム建設工法誌  昭和60年3月 耶馬渓ダム工事事務所

  9)  九州地方建設局 『ダム建設の工法実例 (耶馬渓ダム資料集)』 建設工法研究所 1987

10)  耶馬渓ダムの事業計画と補償妥結の経緯について /吉村新 【ダム日本 No.402(S53.4)】

11)  耶馬溪ダム建設に伴う移転補償について /九州地方建設局耶馬溪ダム工事事務所副所長 星野重蔵

   【第23回水源地問題実務講習会(S54.02.27)】

12)  耶馬溪ダムの設計と施工 /九州地方建設局耶馬溪ダム工事事務所 副所長 衛藤邦夫

   【第14回ダム施工技術講習会(S58.11.11)】

13)  耶馬渓町の観光とダム湖周辺開発計画 /間所質 【ダム日本 No.487(S60.5)】

8. 近傍の施設等
1) 耶馬渓ダム記念公園「溪石園」

 耶馬溪ダムの完成記念に造られた広さ2万平方メートルの日本庭園で、数万個の石、ダムの水を利用して耶馬溪の渓流を再現し、100種3万1000本以上の樹木に池、岩、滝などが四季折々に、見事な調和を見せる公園となっている。  

2) 青の洞門

 青の洞門は、耶馬溪ダムから10kmほど下流の大分県中津市本耶馬渓町樋田にある洞門(隧道、トンネル)で、大分県の史跡に指定されるとともに、耶馬日田英彦山国定公園の域内にも含まれ、晩秋の紅葉時期は特に観光客が多い場所となっている。

3) その他

 その他近傍施設として、「鶴市神社」「福沢旧邸」「宇佐神宮」等の名勝が近傍に位置している。

一般社団法人 ダム工学会(九州ブロック)

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