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一ツ瀬ダム

[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
[出典:九州電力 HP 電子パンフレット]
1. 一ツ瀬ダムの概要

​ 一ツ瀬ダムは、一ツ瀬川本流の中流部、岩下地点に高さ130mのアーチダムを築造し、有効容量155,500,000m3の貯水池をつくり、本流流域415km2の流量と支流岩井谷、上湯の片、尾八重、打越の各河川からの取水を合わせて、ダム上流約200mの右岸取水口から延長約2.7kmの導水路で既設旭化成の一ツ瀬川発電所の上流に導き、最大出力180,000kWを発電のうえ、本流へ放水するものである。

[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
2. ダム概要図
[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
3. 地質概要

 ダムサイトは粘板岩、砂岩およびこれらの互層より構成されており、それらの分布は図2.22に示すとおりである。

 左岸および河床は図2.23に示すように、粘板岩と砂岩が10~50mの厚さをもって交互にたい積しており、局部的に小しゅう曲が見られるが、おおむね受け目状の地質構造となっている。

 これにくらべて右岸は100~160mの厚さを持って砂岩層が流れ目状に存在し、この背後には粘板岩が存在している。

[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
4. 設計概要
(1) 設計の経緯
​ 一ツ瀬ダム候補地点として6カ地点が当初選定され、地表踏査によって比較検討して、これを2カ地点にしぼり、最終的に岩下No.1地点が最もすぐ
れ、かつ高さ130~140m程度のアーチダムの築造が可能であるという結論に達しここに130mのアーチダムサイトとして岩下地点を決定した。その後本格的に地質調査が行なわれ、ダム設計を始めるとともにダムサイト岩盤に関する弾性係数の測定も行なわれた。

 3次形状として大きく変った点は洪水吐である。2次形状までは計画洪水量が3,500m3/sであったが、3次形状の段階ではこれが再検討の結果4,400m3/sに増大したため、当然のことながら洪水吐の容量が問題となった。3次形状ではダム右岸側を上流に位置変更したのでサイド洪水吐では地形上流入口が横越流の形となるため流量の減少が著しくなって洪水処理量の点できわめて不利となる。さらにサイド形式では右岸側アバットメントの下流地山を大きく削り取ることにもなり、ダムの安定上不安をもたらすことにもなり、最終的にこれらの理由から2次形状のサイド洪水吐を改め、ダム両サイドからのスキージャンプ方式をとり、これに中央越流方式を併用する洪水吐にふみきった。

[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
(2) 洪水吐の設計
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洪水吐の設計は、ダムが1次形状から2次、3次へと進展するにつれ、そのつど地形地質、構造、水理、経済性などの諸面から検討を加えた結果、上椎葉式の左右両岸から、スキージャンプ式に放流する設備と、非常用として中央越流部から自由越流にするものとの併用方式に決定した。

 中央越流形式については最近各所で採用されているが、非常用とはいえ河床、ダム本体への影響の点で問題があり、この点についても電研における水理実験で種々検討を行ない最終的な結論を得た。幸いにして本地点では下流土捨場ダムの背水により十数メートルの水じょく池が得られるため、両形式についてかなり有利であった。中央越流水脈の落下地点には水たたきを設けた。洪水吐の構造は図2.44に示すとおりである。

[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
5. 施工概要

 昭和35年9月一ッ瀬ダムの基礎掘削は事前カットに着手したが、36年8月のコンクリート打設開始を目標に余水路を除くダム本体の掘削量350,000m3を約1年で完了せしめる計画であった。

 一方すでに述べたように昭和34年12月のMalpassetダムの決壊を契機としてアーチダムの基礎の安全性が強く叫ばれ、一ッ瀬ダムも地形上ダムのロケーションを変更し、ダムコンククリート量が当初の計画に比し10万m3増加し、560,000m3となった。ダム基礎の掘削の成否は、昭和38年4月たん水開始を目途としたコンクリート打設工程を左右することになるので、増加したコンクリート打設量を考え合わせ不退転の決意が必要であった。

(1) ダム掘削
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ダム掘削に当っては、能率的であること、発破による基礎岩盤の損傷を最小限にとどめうることからベンチカット工法を採用し、左右両岸に高低差30m程度のずり搬出路を設け、15m高のベンチで掘削を進めた。掘削に当っては河床部上流に予期せざる断層の出現を見、EL.65mまで10m掘り下げたため難渋したが、エアートラックの十分な能力発揮、ずり搬出の困難を克服して、月間最大58,000m3を記録しほぼ所期の目的を達することができた。総掘削量447,300m3のうち堤体部382,800m3、余水路部64,500m3であった。
(2) 基礎処理

 一ッ瀬ダムの基礎処理については電力技術研究所地質関係者の詳細な地質調査をもとにしたが、コンソリデーション、カーテングラウトなどについては、その地質およびダム規模の類似した上椎葉ダムの実績、内外技術者の意見を参考にして計画された。河床断層部についてはその性質上基礎処理方法を種々討議したが、結局断層部が基礎面からはずれる深さまで掘り下げてコンクリートでプラグし、さらにこの部分の基礎不均等性をカバーする意味でプラグ上に水平サドルを置き、その上にダム本体を設ける構造とした(プラグ天端EL.73m、サドル天端EL.79mである。)河床部のグラウトについては、両岸のカーテングラウトと同じ意味をもつ第1次カーテングラウトを最上流に施工し、さらにその下流に第2次、第3次カーテングラウトを河床部サドルに設けた監査廊から施工して万全を期した。監査廊内からのグラウトは外部の作業に無関係に、たん水直前まで専一作業で行なわれた。

 最近のダム基礎処理の傾向として、カーテングラウト背後の揚圧力ないしは間げき水圧軽減の目的で排水孔を設置しているが、当ダムでも河床カーテングラウト幕の下流側ならびに両岸下流地山に排水孔を設けた。グラウト孔の総延長(岩長)は約34,600mであり、その内訳はコンソリデーション孔約9,700m、カーテングラウト孔約22,000m、リムグラウト孔約2,900mであった。

(3) コンクリート打設
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ダム基礎の掘削がほぼ所期の目的を達し、昭和37年7月右岸BL.18から打設開始をすることができた。コンクリートの打設量は前途のように大きくなったのでかなりきつい工程となったが、コンクリートバケットの軽量化による容量の増大(5.5m3)等の設備改良を行なって最大日打設量2,345m3(昭和37年8月11日)、最大月打設量46,100m3(昭和37年9月)を記録し、昭和38年3月までにその大半を完了し同年4月2日たん水の運びとなった。総コンクリート量556,953m3、うちダム堤体部489,141m3、余水路部67,812m3であった。
[出典:一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録]
6. 関連資料(関連資料紹介:工事誌、論文、報文等)
・一ツ瀬・杉安アーチダム 工事記録
7. 近傍の施設等(観光・商業関連)
1) 一ツ瀬ダム展望所
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高さ約130メートルの一ツ瀬ダムは、一ツ瀬川杉安峡上流に造られた九州一のアーチ式ダムです。ダム湖の大きさは西日本一を誇り、観光スポットとしても有名です。アーチ式コンクリートダムの圧倒的な景観を味わってしてはいかがでしょうか。
[出典:宮崎観光ナビ HP]
2) 湖の駅
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西米良の東の玄関口と言われており、店内から眺望できる一ツ瀬ダムでは釣りも楽しめる。手うちのそば粉を使った「そばコロ」や、いのししカレー・猪そばなどがオススメ。地元の加工品やお土産もある。
[出典:みやざき観光情報 旬ナビ HP]
8. 近傍のダム
​ ・大瀬内ダム(7km) ・かなすみダム(7km) ・杉安ダム(7km) ・長谷ダム(8km) ・立花ダム(9km) ・戸崎ダム(9km) ・石河内ダム(9km)

一般社団法人 ダム工学会(九州ブロック)

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